FOCUS

ー LIVING LEGEND シリーズ ー
【前半】新たな音楽&才能との出会いは一種の“麻薬”である

Tom's Cabin代表、SXSW Asia代表
麻田 浩 インタビュー


Toms Cabin代表、SXSW Asia代表 麻田 浩氏
Tom's Cabin代表、SXSW Asia代表
麻田 浩(あさだ・ひろし)

モダンフォークカルテット、ソロとアーティスト活動を通じて、60年代後半のアメリカを“実体験”した麻田浩さんは、トムズ・キャビン設立後、大手が手掛けない、でも音楽好きが支持する多くのアーティストたち(エリック・アンダーソン、トム・ウエイツ、エルヴィス・コステロ、グラハム・パーカー、トーキング・ヘッズ、B-52’s、XTC などなど)を次々と招聘。ロック文化・洋楽文化に大きく寄与されます。邦楽アーティストのマネージメントを開始後はSION、コレクターズ、コシミハルを手掛けられ、ピチカート・ファイブを海外での成功に導きました。また、昨年Perfumeも出演して話題となったSXSW(サウスバイサウスウエスト)での活動を通じて、多くの日本人アーティストを海外へ送り出し続けています。正にポピュラー音楽の歴史の目撃者とも言うべき麻田さんの、音楽愛に貫かれた活動と来月3月に開催が迫ったSXSW、そして今後の展望まで話を伺いました。

(インタビュー・山浦正彦、屋代卓也 / 文・Kenji Naganawa)
2016年2月23日 掲載

キングストン・トリオをきっかけにギターを手に取る

—— 麻田さんは44年生まれとのことですが、ご出身はどちらですか?

麻田:横浜です。最初、保土ヶ谷にいて、綱島に引っ越し、それからはずっと綱島でした。親父やおふくろは本牧に住んでいたんですが、戦争で焼き出されて、おふくろの実家の保土ヶ谷に移ったんです。

—— お父様は何をされていたんですか?

麻田:親父は日本郵船の船長だったんですよ。

—— 船乗りですか?

麻田:そうです(笑)。兄弟は下3人女の子だったので、話が合わなかったんですが、親戚が横浜にたくさんいたので、小学校5、6年になるといとこの家に一人で遊びに行っていました。音楽の一番最初の記憶は、親戚の家にあった手回しの蓄音機の音で、それでパティ・ペイジの「テネシーワルツ」とか聞いていたんですが、中でも「セブン・ロンリー・デイズ」という曲が凄く好きでしたね。

—— 聴いていたのは洋楽ばかりですか?

麻田:そこの家はほとんど洋楽でした。お金持ちの家で、結構新しい作品がありました。その後、FENというものがあると知って、中学校に入ってからはほぼ毎日のようにFENを聴いていましたね。あの頃のFENから流れる音楽は凄く面白かったですね。

—— その頃の横浜は最先端の文化が真っ先に入るような場所だったんですか?

麻田:文化的にはそうですよね。有名な映画俳優が元町に色々な物を買いに来ていたりしていましたからね。僕は小学校の頃そんなに友達がいなかったんですが、中学に入ったら音楽好きな子たちがいて、仲良くなりました。その頃からドーナツ盤を買い出して、みんなお小遣いがあまりないですから、「お前はこれ買えよ」とか、そういうことをやっていましたね。

—— その頃のヒット曲っていうと何になるんですか?

麻田:ポール・アンカやコニー・フランシスといったポップスですよね。僕はガールズ・グループ、ダイアナ・ロスのシュープリームスとか、そういうのが好きでした。あとアトランティックとか、ソウルですね。ただそういうものはFENではかからないんですよね。

—— 黒人音楽はかからなかった?

麻田:黒人音楽はほとんどかからなかったですね。あの頃はまだ「レース・ミュージック」って言っていたのかな。カントリーは必ずかかるんですが、僕はカントリーも好きだったから、それは嬉しかったですね。番組的には土曜日が一番良くて、一番最初はハワイの番組があって、その次がナッシュビル、一番最後はトップ40。ですから土曜日はずっとFENを聴いていました。

—— それが講じてギターを手にすることになるんですか?

麻田:いや、ギターを手にするのはもっとずっと後ですね。僕らはずっとポップスを聴いていたんですが、ある日キングストン・トリオの「トム・ドゥーリー」という曲が聴こえてきたんですよ。それが凄く新鮮で「えー、こんなのあるんだ!」と思って、それからフォークにのめり込んでいくんです。それで僕らが高校3年のときに謝恩会で何かをやらなくてはいけなくなって、僕のクラスはなにもやるものがなかったので、友達3人を誘って、大好きだったキングストン・トリオのマネをしようよと(笑)。それがギターを買うきっかけですね。

—— キングストン・トリオがきっかけだったんですね。

麻田:そうです。僕は中学から明治学院の付属に通っていたんですが、その友達3人はすんなり大学への推薦をとったのに、僕は高校時代ずーっと遊んでいて、全然勉強しなかったので、「高校から大学に入れない」という通知が来たんですよ(笑)。友達とは「大学でバンドやろう!」と話していたのに、僕だけ推薦がとれなくて、結局、外部受験で明治学院を受け直したんです(笑)。そのときは必死でしたね。

—— 付属なのに外部受験ですか・・・(笑)。

麻田:そう(笑)。親父に本当に怒られてね。「なんのために中学から付属に通わせたんだ!」って。で、大学に入って、バンドを組んで、1人メンバーが辞めて、そこにマイク真木が加わって、4人でモダンフォークカルテット(MFQ)をスタートさせました。

—— 大学に入る目的もバンドやりたさですか?

麻田:うーん、そのときは音楽で飯を食うという意識はなかったですよね。だから大学でバンドやっている人たちも3年になると辞めて、4年になると就職活動をやるというような時代でしたし、僕らも「大学3年になったら辞めよう」と話はしていましたね。

—— そんな中、マイク真木さんがソロデビューしますよね。

麻田:実は真木は浪人していたので、僕らの一学年下だったんです。それで僕らは3年でバンドを辞めて、彼だけ1人ソロでやり始めたんですが、「これからはフォークが流行りそうだから」とハマクラさん(浜口庫之助)が作った曲のデモテープ作りに真木が呼ばれて歌ったら、「これでいいじゃん」という話になったらしいんですよね(笑)。

—— 真木君の歌でいいやと(笑)。

麻田:それが「バラが咲いた」ですね。




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