ー LIVING LEGEND シリーズ ー
【後半】新たな音楽&才能との出会いは一種の“麻薬”である

Tom's Cabin代表、SXSW Asia代表
麻田 浩 インタビュー


いいアーティストをサポートする手立てとは

Toms Cabin代表、SXSW Asia代表 麻田 浩氏
—— 麻田さんは本当に幅広く、また新しいアーティストまで滅茶苦茶詳しいですね(笑)。

麻田:音楽好きですからね。本当にレコードとかCDをたくさん買っちゃいます。やっぱり僕は配信というのが好きじゃなくて、CDを買って聴くのが好きです。やっぱりお金出して買うから良いのであって、僕は色々なところからCDを貰ったりするんですけど、貰った物はあまり聴かないですよね(笑)。やっぱり、自分が面白そうだと思って、お金出して買ったら聴きますよ。

—— いわゆる聴き放題サービスとかは全然利用されていない?

麻田:ほとんどやってないですね。ネットでは音楽の記事みたいのを結構読んでいます。あとビルボードチャートとか。

—— 最近の若いミュージシャン対して何か思うことはありますか?

麻田:僕が思うのは、良いバンドはいっぱいいるんですよ。それこそ、SXSWに出たいというバンドは、年間100バンドくらい応募が来るので、それを全部聴くんですが、面白いバンドがいっぱいいますし、日本でなかなか売れないけれど、SXSWに出て何か糸口を掴みたいと考えている人もいるんですね。僕は毎年のようにSXSWへ行って、向こうの音楽シーンの人たちと話をするんですが、日本のアーティストは恵まれていないなと思いますね。

—— どういったところが恵まれていないんでしょうか?

麻田:やはり国のサポートが全然ないですよね。毎年、カナダ政府がお金を出して、10アーティストくらいカナダから日本に呼んでショーケースをやるんですが、シンガーソングライターで、ランディ・ニューマンみたいな子がいたから、この間プロモーションしてあげたんですが、そういうサポートが日本ではほとんどないですよね。もちろん、イギリスもカナダもそれで凄く経済が潤っている部分があるんでしょうけど、それに比べると日本のアーティストは恵まれてないなと思います。

—— それこそ韓国だって国を挙げてやっていますよね。

麻田:韓国は今、凄いですよ。お金出して。台湾もそうですね。

—— 国策としてやっている。

麻田:そう、国策ですよ。今、日本のアーティストで「これは絶対に良いのにな」という人たちがいっぱいいますが、レコード会社も事務所もみんな余裕がないから、なかなか外に売り出せないという。僕がピチカートをやったときはコロムビアとウチの事務所とフジパシの3社でお金を出し合ったんですね。今はレコード会社でそういうお金を出すところはなかなかないんですよね。

ちょっと発想を変えて、日本国内がダメだったら、外からお金を稼いでくれば良いじゃないという発想を持てる人がいない。もちろんそれは、たやすいことじゃないですよ。僕だってSXSWを20年やっていて、なかなかうまくいってないんだから(笑)。そんな偉そうなことは言えないんですが、でもそういうことがないと、日本の音楽業界はこのままどうなっちゃうんだろうと思うんですよね。

あと、もっと地方の音楽が活性化したらいいなと思っています。今年も100バンドくらいSXSWの応募があったんですが、その80%以上が東京のバンドなんですね。これがアメリカだと、今どき「ニューヨークに住もう」とか「ロサンゼルスへ行かなきゃ駄目だ」なんて誰も考えないです。いわゆるレコード会社、音楽ビジネスの体系が変わっちゃったから。昔はニューヨークへ行って、ニューヨークのレコード会社に当たっていかなきゃ始まらない。あるいはロサンゼルスのワーナーへ行くとか。今は全くそうじゃないし、自分で住んでいるところの方が物価も安いし、はるかに生活しやすい。しかも、昔と違ってインターネットを使えますからね。

—— アメリカでは地域格差みたいなものがないと。

麻田:そうです。日本でも地方の放送局やイベンター、ライブハウスが「今年はこの子を推したいんだ」と少しずつお金を出し合ったり、例えば、大阪だったらFM802でもなんでも良いんですが、その地域で一緒になって、大阪から新人を売り出すとか、そういうことをやれば面白いと思うんですけどね。




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