FOCUS

ー LIVING LEGEND シリーズ ー
【前半】スターの概念を打ち破ったビートルズとの日々

元『ミュージック・ライフ』編集長
星加ルミ子さんインタビュー


元『ミュージック・ライフ』編集長 星加ルミ子さん
元『ミュージック・ライフ』編集長
星加 ルミ子(ほしか・るみこ)

音楽ファンなら一度は目にしたことがあるビートルズと着物姿のうら若き女性の写真。その若き女性こそ若干24才の星加ルミ子さんその人だ。『ミュージック・ライフ』編集長として単身ロンドンへ乗り込んでビートルズの取材を実現させた星加さんとはいかなる女性なのか? そのキャリアからビートルズとの交流まで話を伺った。

※2016年3月8日に亡くなった5人目のビートルズ、ジョージ・マーティン氏のご冥福をお祈りいたします。

(インタビュー・山浦正彦 / 文・Kenji Naganawa)
2016年3月10日 掲載
PROFILE
1940年北海道生まれ。東洋女子短期大学英文科卒。
61年、新興楽譜出版社(現シンコーミュージック・エンタテイメント)入社、ミュージック・ライフ編集部に配属される。65年、ロンドンに渡り、日本人ジャーナリストとして初めてビートルズとの単独会見に成功。75年、シンコー・ミュージックを退社まで編集長として活躍。以後、フリーの音楽評論家として現在に至る。主な著書に、「太陽を追いかけて」、「ビートルズとカンパイ」(シンコー・ミュージック刊)などがある。
6月にはビートルズの来日50周年を記念して、大々的なイベントを行う予定。

「それが熱いか冷たいか、わかってから触りなさい!」好奇心旺盛だった少女時代

—— 星加さんは北海道の出身だそうですね。

星加:生まれたのは札幌なんですが、1年くらいで父が富良野の隣にある赤平市に転勤になりました。赤平市には三菱がやっている雄別炭鉱の大きな営業所があって、社宅が何棟も建っているんですが、そこで小学校2年生まで過ごしました。赤平は本当に何もない土地だったんですが、すぐ近くに空知川という川が流れていて、夏になったら友達と川に飛び込んで遊んでいましたし、社宅の子供たちだけでもすごい人数なんですが、みんな一緒になって広場で遊んでいました。

—— 幼少時代は北海道の大自然と触れ合っていたんですね。

星加:子供の頃にああいうところで過ごしたことは良かったですね。炭鉱というのはすごく過酷な環境で、ボタ山の下に炭坑夫の人たちが家族連れで住んでいました。私の父は営業関係の仕事だったので、あんまり接点はなかったんですけどね。ただ、赤平市はマイナス20℃とあまりにも寒くて、妹と弟が肺炎になってしまったんです。それで父は1年8ヶ月くらいで転勤願いを出して、青森県の八戸市に引っ越しました。八戸は長くて高校卒業するまでいました。

—— 幼少時代はどのようなお子さんだったんですか?

星加:好奇心が強かったですね。「それが熱いか冷たいか、わかってから触りなさい!」ってよく言われましたね。

—— 思った瞬間にすぐ手が出る(笑)。

星加:そう(笑)。

—— 音楽との出会いは?

星加:うちは変わった家で社宅の客間に楽器が置いてあったんです。アコーディオンとギター、サックス、オルガン、三味線などが置いてあって。 誰も弾いていませんでしたし、どうやらもらってきた物のようなんですが、友達の家に遊びに行くと、客間に綺麗に花が飾ってあって、「あなたの家が変わっているのよ」なんて言われましたね(笑)。でも、うちの家族は音楽が好きだったんですよ。ポータブル蓄音機でヴィヴァルディとか聴いていましたからね。その頃、母が「うたのおばさん」という、松田トシさんと安西愛子さんが童謡を歌う番組を聴いていて、家事仕事をしながら母が童謡を口ずさんでいるのを聴いていたので、私も童謡が好きになり、大きい声で歌っていましたね。

—— 歌はお上手だったんですか?

星加:普通でしたよ(笑)。八戸に引っ越してすぐに、お正月の準備で母が美容院にパーマをかけに行って、私もついて行ったんですよ。そうしたら美容師さんたちが私を見て「ひばりちゃんに似てない?」とか言い出して、真ん中分けで三つ編みにされたりしたんですよ。その話を母が自慢したのかわからないですが、学校に行っても「ひばりちゃんに似てる」って言われ、からかって「歌って!」と言うんですよ(笑)。それで黒板の前で「東京キッド」とか歌ったりしました(笑)。

—— 人気者だったんですね(笑)。

星加:4回小学校を転校しているんですが、どこにいってもいじめられた記憶はないですよ。人懐っこいというか。言葉もすごく珍しがられるんですが、八戸のズーズー弁も1ヶ月経てば覚えましたから、すぐ友達もできて仲良くなって。

—— 八戸高校時代は将来に対してどう考えていたんですか?

星加:母からは「薬科大学に入りなさい」と言われたんです。「これからは女の子も資格を持たなくては駄目」「あなたは薬剤師か栄養士になりなさい」と言われて。ですから、漠然と薬学部に行くんだと思っていました。私の通っていた八戸高校は、半分受験校みたいな学校だったんですよ。ミニテストをやって全部貼り出すような受験ムード漂う学校でした。

でも2年生の暮れに母が突然亡くなりまして、妹は6歳、弟は9歳と小さかったですし、「何かあったらこの子たちが可哀想だ」と思って、私は大学なんて行かなくてもいいと思うようになりました。父はそのとき何も言わなかったんですが、高校3年生のときに「東京の本社へ転勤になるように頼んでおいたから、お前は先に上京して受けたい大学を受けなさい」と言われました。でも、高校3年も半分を過ぎていましたから、大学を目指すのは遅かったんですよね(笑)。先生も「今からじゃ遅い。しかも薬学部ってお前理系は全然ダメだろ」って(笑)。考えたら私は英語が好きだったけど 理数全くダメだったんです(笑)。だから学校の先生になれる資格を取れるような文学部とか、社会学部に入れるようにと、もうそれから勉強し直しました。でも薬局をやっている知り合いのおじさんの顔を立てること、と母の遺言みたいなものもありましたから、薬学部も一つ受けたんです。

—— 一応受けたんですか?

星加:ええ。1月の末くらいに。時間もないしやる気もなかったので全くダメでしたけどね(笑)。それで気がついたら他の大学もみんな募集を閉め切っちゃって、受験も終わっているんですよね、2月の終わりくらいなので。それで先生に探してもらったら「英語重視の短期大学が二次募集を3月にするから、お父さんと相談して、もしそこに行く気があるなら」と言われました。英語の試験で入れるし、英語は好きだから「これだ!」と思って、家に帰ったら父が翌年の東京への転勤が内定していたんですよ。だから1年間だけ大学の寮に入ることを条件に東洋女子短期大学を受けて、合格しました。




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