ー LIVING LEGEND シリーズ ー
【後半】スターの概念を打ち破ったビートルズとの日々

元『ミュージック・ライフ』編集長
星加ルミ子さんインタビュー


「ポールさんと握手したのはどっちの手ですか?」

—— このビートルズの記事が載った『ミュージック・ライフ』は本当に強力ですよね。この号はどのくらい売れたんですか?

星加:それまでの『ミュージック・ライフ』って、10万部いくかいかないかという雑誌だったんですよね。それがこの号は25万部出して、ほとんど返品なかった(笑)。

—— 通常の3倍近いですね。

星加:ビートルズのファンが1人で何冊も買ってくれたりなんかして。今はこの号はすごく価値が出ちゃって何十万もするそうです(笑)。

『ミュージック・ライフ』ビートルズ
—— とにかく、この号の星加さんとビートルズの写真は本当に衝撃でしたし、こんな可愛い子が日本から着物で来たら会わないわけにはいかないだろうなと。

星加:若い女の子がね。だから、税関と同じで相手も警戒しないんですよね。ビートルズともすぐに打ち解けて、彼らもほとんど同じ年代ですから、もうざっくばらんに色んなことを訊いてきまして。スーパースターなんて言うと嫌な連中なのかなと、会うまでは警戒していたんですけどね。でも、それまで私たちが思い描いていた、いわゆるスターというものを彼らが打ち破ってくれましたよね。彼らは本当にごくごく普通の青年たちでした。それで私はそれから毎年ビートルズの取材へ行って、何度も会っていますし、アメリカ公演のときも一緒について回っていますけど、彼らはいつも同じなんですよね。本当に変わらない。

—— アメリカ公演はビートルズ側が招いてくれたんですか?

星加:そうです。エプスタインがね。アメリカの2誌とイギリスの2誌、そして日本の1誌、記者とカメラマンが取材で会場入りを許されたんですね。その特別なパスを持っていたら、会場だろうとホテルだろうとどこでも取材できるんです。いつでも話しかけてかまわないし。

—— 星加さんはその強力なメンバーに入れたんですね。

星加:本当にクルーみたいなもんですよね(笑)。朝ご飯は、みんなそれぞれ起きたら食べられるようにと、別室にビュッフェスタイルで用意してあるんですね。それはメンバーだけじゃなくて、ついてきたクルーの人たちだとか、アメリカの関係者の人たちがみんな食べていいんですよ。それで、私も朝ご飯でおいしいオムレツでもあるかもしれないと、降りていったんですが、そこで2回リンゴ・スターと一緒になりました(笑)。

—— (笑)。

星加:「同じ時間にハングリーだな」とからかわれましたけどね(笑)。リンゴ・スターが私にプレートを持たせて、「何? スクランブルエッグ? それとも目玉焼き?」って取り分けてくれて、朝ご飯一緒に食べました(笑)。

—— アメリカではライブは何公演観たんですか?

星加:5回観ました。

—— 羨ましい(笑)。

星加:でも、そのときは、50年経った今もビートルズと言っているなんて思いもしませんでしたよ。いくらもの凄い人気のあるスーパースターでも、やがて忘れられていくのが常ですからね。

—— それまでにプレスリーはいたとしても…。

星加:プレスリーでさえも、だんだん忘れられかけていますよね。だから、50年経ってまだ私にビートルズのことを話してくれとか、ビートルズの取材のときのことを話してくれなんて言われるのがウソみたいですよね。

それで、アメリカ取材のあとハワイで5日間休暇を貰ったんですよ。ハワイですごく良いホテルを用意してくれて「遊んできて良いから」と言われて。でも、それまでの疲れと安心感で、波の音を聴きながら5日間寝てました(笑)。本当に何もする気がなかったですね。ホテルの従業員が「あのショッピングセンターが近いから行ってきたらどうか?」とか心配して言ってくれたんですけど、もう疲れているからほっといてと。

—— 完全な休養だったんですね。

星加:それで、ビーチサンダルにムームー姿でハワイから羽田に帰ってきたんですよ。そうしたら、到着ロビーに若い女の子たちがいっぱいいて・・・今はそういう光景珍しくありませんけど、当時は羽田へ行くだけで大変でしたから、若い子たちが空港にいっぱいいるのは珍しい時代で、私はカートで自分の荷物を持って出て来たら、その人たちが私に向かって一斉に向かってきたんですよ。そうしたら「ポールさんと握手したのはどっちの手ですか?」とか「ポールにチュウされたのはどっちのほっぺ?」と代わるがわる質問されて(笑)。

—— (笑)。

星加:あー、そうか、私を迎えに来たんじゃなくて、ビートルズに握手した手にさわりたかったんだと。それでシンコーから迎えにきてくれたスタッフのガードで何とか空港から脱出することができました。




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