FOCUS

「歌詞を味わう」体験をアップデートする
歌詞が浮き出る革新的スピーカー『Lyric speaker』インタビュー

ウェブレッジ 秋山氏、百瀬氏、キッコサウンド 廣井氏、小沼氏、SIX 斉藤氏
左から:ウェブレッジ 秋山氏、百瀬氏、キッコサウンド 廣井氏、小沼氏、SIX 斉藤氏
音楽と同期して歌詞が表示される次世代型スピーカー『Lyric speaker』が各所から注目を集めている。『Lyric speaker』は、歌詞を自動で美しくビジュアライズする技術「Lyric Sync Technology」が搭載されたスピーカーで、楽曲の雰囲気や構成を自動解析したモーショングラフィックを作成し、歌詞を透過スクリーンに表示される。2015年にアメリカで行われた「SXSW」でアジア企業としては初となる「Best Bootstrap Company」を受賞し、現在、11月の一般販売に向けて予約受付中だ。

今回のインタビューではクリエイティブ・ディレクターのSIX 斉藤迅氏を中心に『Lyric speaker』の開発メンバーに集まっていただき、開発の経緯や、日本各地のエキスパートたちを繋いだ今プロジェクトの意義、そして、日本の歌詞文化の活性化を支援する新プロジェクト「Lyric Culture Project」についてまで話を伺った。
2016年10月17日 掲載

チームアップの指針は“『Lyric speaker』に面白みを見出してくれるかどうか”

—— 今回は『Lyric speaker』のプロジェクトメンバーにお集まり頂きましたが、それぞれのご担当業務をお伺いできればと思います。

斉藤:SIXのクリエイティブ・ディレクター 斉藤迅です。『Lyric speaker』のプロジェクトリーダーであり、この『Lyric speaker』を発案しました。

秋山:ウェブレッジの秋山です。弊社は第三者検証機関という、検証を専門にしている会社でして、今回『Lyric speaker』の検証を行いまして、私はその検証統括をしました。

百瀬:同じくウェブレッジの百瀬と申します。SIXさんの営業担当として参加しております。

廣井:キッコサウンドの廣井です。弊社は、ソフトウェアモジュールの一部分、ハードウェアのボリュームやバックライトですとか、そういったグラフィックスなどのハードウェアとモジュールを繋いでいる部分を担当させていただいておりまして、私はそのマネージメントをしております。

小沼:キッコサウンドの小沼と申します。私はソースコードとかプログラムを担当しております。

森田:ケイテックの森田です。弊社はいわゆる製造受託をやっているんですが、他のEMS(electronics manufacturing service)企業とちょっと違うのは、開発及び設計をやっているのですが、『Lyric speaker』では機構設計に携わっています。

—— ありがとうございます。まず、『Lyric speaker』のコンセプトから伺いたいのですが、出発点として「音楽の楽しみ方をアップデートできないか?」という想いがあったそうですね。

斉藤:はい。元々、僕たちはクライアント案件の中でのブランディングやクリエイティブを作るということをやってきたんですが、同時に自分たち発信で「社会をアップデートする何かに挑戦したい」と長年思っていました。僕自身すごく音楽が好きだということもあり、音楽鑑賞でここ最近物足りないと思っている「歌詞を味わう」という体験についてアップデートすることはできないか? と考えました。

そこで発案したのが『Lyric speaker』で、音楽を聴きながら、歌詞をビジュアライズして見る仕組みを持ったスピーカーを開発して、色々なところに提供していったら、音楽体験がもっと楽しくなるんじゃないか? と。僕たちSIXはクリエイティブをやる会社ですので、具体的な技術に関しては、常にいろいろな会社とチームアップしながらやっていくわけですが、その中で最初にaircordという会社と開発をご一緒させていただきました。また、製品化する過程ではdot by dotのSaqooshaさんにテクニカルディレクターを担当いただき、製品化における技術部分をマネージメントしていただきながら進めていきました。

そして、次々にいろんな方々に参加していただいて、足りない部分を補いながらやってきたんですが、チームアップを行う上で、1つの指針になったのが、歌詞という部分を改良して音楽体験をアップデートするという点に面白みを見出していただける方々ということで、それが念頭にあり、協力関係が持てる方々を探していきました。

Lyric speaker
—— ウェブレッジさんは『Lyric speaker』の話を聞いたときに、率直にどう思われましたか?

秋山:ご紹介いただいたときに、もうプロトタイプが出来上がっていて、その場で見せていただいたんですが、本当にビックリしたというか、「凄いものを作られているな」と思いました。これを我々に検証させていただけるのなら、是非ともやらせていただきたいということで、ご協力させていただく形になりました。

—— 実際に検証をやり始めてみて大変だったところはありましたか?

秋山:我々は、プロダクトがお客様に届いたときに、いかに目的通り動くようにするか検証するんですが、まず、対象の製品を調べることから始めるんですね。そして、類似製品も全て調べて参考にするんですが、『Lyric speaker』は革新的なもので、過去に類似品が一切ないので、検証も手探りで本当に大変でした。

斉藤:ウェブレッジのお二人は音楽に興味を持っているのを感じましたし、秋山さんは最初の頃から発表会に観客の一人として来ていただいたり(笑)、「この製品をみんなで作っていこう」みたいなチーム感を持てたというのはすごく心強かったです。

—— キッコサウンドさんは、どういった経緯で『Lyric speaker』のプロジェクトに参加されることになったのでしょうか?

廣井:最初、色々なパーツを繋いでいるモジュールの部分を、さらに強化していきたいとうことで、「見て欲しい」とお話を頂きました。ただ、我々もちょうど忙しい時期でしたので、最初はお断りしたんですが、斉藤さんが「30分でも良いから『Lyric speaker』を見て欲しい」とスピーカーを担いで浜松まで来てくださって、ひと目見たら、本当にびっくりするくらい美しい製品だったので、瞬時に「是非やらせてください!」と逆にお願いしました(笑)。

—— 廣井さんに加わっていただいて心強かったですか?

斉藤:廣井さんはメーカーの中で、数々の名作楽器をつくってきていただいた方で、そういったしっかりとした「ものづくり」をたくさん経験されてきた方ですし、さらに、独立なさってからはMIDIをコントロールするBluetoothのデバイスを作られている中で、メーカーとしてだけでなく、その先のスタートアップとしての戦い方も熟知されていますので、これ以上ない強力なメンバーに参加頂けたと思います。

ケイテック 森田氏—— 森田さんの『Lyric speaker』に対する第一印象は?

森田:『Lyric speaker』のお話を頂く前に、松本隆さんの「風街レジェンド2015」というコンサートに行きまして、そのときに詞を見せる演出があって非常に印象的だったんですね。『Lyric speaker』は、それと同じようなコンセプトでやっておられるので、「これは何かあるな。やらなきゃいけない仕事だ」と思いました。もうひとつは、関わっているメンバーの方々やチーム全体が、日本のものづくりが世界をリードした頃の雰囲気を持っていまして、「まだこういう人たちがいるんだな」と非常に懐かしい想いもありました。社内的には、ちょっと説得しなくてはいけなかったんですが(笑)、積極的に関わらせていただきました。

—— 「ものづくりの懐かしい雰囲気」とは具体的にどんな感じでしょうか?

森田:ワイワイガヤガヤやりながら、どんどん皆がアイデアを出していったり、何か決まった形というよりも、それぞれが自分の考えを持って進んでいくような所ですかね。ものづくりの楽しさを味わえるような環境ですよね。

斉藤:森田さんと初めてお会いしたときに、松本隆さんの話が出て、僕も大ファンですので、まず「風街レジェンド2015」に行けたのが羨ましいな、と思いました(笑)。僕も行きたかったので(笑)。というのはさておき、森田さんとも通じるものがあるというか、同じ面白さを見ながら作っていけるんじゃないかなと思いました。




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