SPECIAL REPORT & INTERVIEW

音楽を彩るストリングス・アレンジの魅力を伝えたい
「ソニックアカデミーミュージックマスター」アドバンスドコース
『後藤勇一郎の弦譜塾 ストリングス・アレンジ基礎編〜5DAYS講座』開講
後藤勇一郎氏インタビュー

ヴァイオリニスト/コンポーザー/アレンジャー 後藤 勇一郎
ヴァイオリニスト/コンポーザー/アレンジャー
後藤 勇一郎

 ソニーミュージックが提案する「真の音楽人」の育成を目指すソニックアカデミーミュージックマスター(ソニックアカデミー)が、今夏、短期集中で専門分野を極めることができる「アドバンスドコース」を新設し、『後藤勇一郎の弦譜塾 ストリングス・アレンジ基礎編〜5DAYS講座』『DTMパーフェクト構築コース~2DAYS講座』、そして『ギタ女養成2DAYSキャンプ』を開講する。今回は「ストリングス・アレンジ基礎編」の講師であり、数多くのレコーディングセッションで、あらゆるジャンルの音楽・弦アレンジに携わって来た後藤勇一郎氏と、講座企画者のソニー・ミュージックエンタテインメント エデュケーション事業部 朝日城児氏に「後藤勇一郎の弦譜塾 ストリングス・アレンジ基礎編」解説の経緯からストリングスの魅力まで話を伺った。

2016年7月28日掲載
PROFILE
後藤 勇一郎(ごとう・ゆういちろう)

4歳よりヴァイオリンを始め、東京芸術大学附属音楽高校を経て、東京芸術大学に入学、在学中は岡山潔氏に師事する。ソリストや室内楽奏者、また、東京ヴィヴァルディ合奏団等各種オーケストラのコンサートマスター、多くのアーチストのコンサートツアーに参加するなど、ヴァイオリニストとしての幅広い分野において各地で活動。この他、レコーディング・劇伴・CM等自己のグループによるスタジオワーク、作編曲家としてCMや劇中音楽、モバイルコンテンツ等の作曲、J-POPのストリングスアレンジやトラックメイク等レコーディングアレンジャーとしてのマルチな活動と共に、現在は自身のライフワークとなるプロジェクトとして、季節を音で表現する「私季サウンド」を提唱。アルバムリリースやコンサートを中心に、ソロアーチストとしての活動を充実させつつある。
後藤勇一郎公式サイト ロゴ
後藤勇一郎公式サイト
後藤勇一郎プロフィールページ

学ぶ手段のない「J-POPのストリングス・アレンジ」

—— 「アドバンスドコース」(短期講座)はどのような経緯で開講されたのでしょうか?

朝日:去年の4月からソニックアカデミーがスタートしまして、受講者の皆さんには色々なコースを受講していただいたんですが、受講後のアンケートで、リズムのアレンジやラテンパーカッション、ストリングス・アレンジ、ブラスアレンジだとか、より専門的な講座が欲しいという声がまずありました。

また、ソニックアカデミーは毎週日曜日 全10回講座のような形でやってきたんですが、そうなりますと通うのが厳しいという声も非常に多かったので、もっと短期間で終了する講座を考えて後藤さんにご相談した結果、全5回のコースということになりました。

—— 第一弾を後藤さんの講座にされることは、アドバンスドコースの構想段階から決めていたんでしょうか?

朝日:去年、後藤さんには「パーフェクトアレンジコース」の一コマでストリングス・アレンジの講義をお願いしたんですが、その講義は大変明確で分かりやすく説明された90分で、生徒さんの目がキラキラ光ってくるのが見ていて分かるんですよ。そして、講義後も生徒さんたちが後藤さんを囲んでいる光景を見て「これはすごいな」と思ったんです。ストリングス・アレンジの講座に対して、みなさん喜んでくれていましたし、学びたいという気持ちが強いんだなと実感できたので、後藤さんにはまた別の機会を作って是非お願いしたいと前々から思っていました。



—— 現状、J-POPのストリングス・アレンジを学ぶ手段はほとんどないんでしょうか?

後藤:基本的にはないです。自身の出身校である東京芸術大学を初めとした音楽大学では、作曲科のみならず和声法という授業がありますので、アレンジの母体となる部分を学ぶチャンスはありますが、残念ながらJ-POPに関しては、いわゆるクラシックの和声法が通用しない音楽でして、和声学上の禁則事項に引っかかるコード進行になっていたりします。ですから和声法を学んでいるからといってJ-POPのアレンジをそのままできるかといったら、そうではない部分があります。基本的な和声法を押さえつつ、J-POPの良さでもある、禁則に縛られない自由なコードチェンジを消化してアレンジするのが面白いところであり、難しいところでもあるんですね。現状それを学べるのは、ソニアカの後藤勇一郎の講座だけです(笑)

—— 後藤さんご自身はJ-POPのストリングス・アレンジをどのように体得していったんでしょうか?

後藤:やはり仕事を通じてですね。現場で学びました。僕がヴァイオリニストとしてJ-POPのレコーディングに携わるようになったのは大学1、2年の頃ですが、現在のトラックメーカーとは違い当時は譜面を書くいわゆるアレンジャーという方がいて、皆さんフルスコアで譜面を書いていらっしゃいました。もちろん坂本龍一さんを始めとしてシンセで音楽を構築されている方も多くいらっしゃいましたが、現実的には4リズムと歌、そしてストリングスやブラスがいて、全て譜面で表現されていました。その譜面を演奏することによって身に付いたことも多いですし、小学生の頃から日本のポップスや洋楽を耳にしていますから「ああ、こういうアレンジをするのか」と自分で吸収していった部分もありますね。

—— 例えば、ストリングス・アレンジのメソッドみたいなものはないんですか?

後藤:そうですね。例えば、ジャズではチャーリー・パーカーのアドリブフレーズの全集とか何らかの教則本みたいなのはあると思いますけど、ストリングス・アレンジの教則本というのは僕自身見たことないですね。