「ナイトエンターテイメント」と「フェス」、注目シーンの最先端から見た新時代音楽ビジネスの可能性
ニューミドルマン座談会 弁護士 齋藤貴弘氏 × 「Festival Junkie」津田昌太朗氏 × バグ・コーポレーション 山口哲一氏
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風営法改正運動が成功した理由、ナイトエンターテイメント・シーンの可能性

ニューミドルマン座談会 弁護士 齋藤貴弘氏山口:齋藤さん、ナイトエンターテイメントの現状について話していただけますか?

齋藤:全体としてナイトエンターテインメント・シーンの市場は伸びています。CDとかデジタルよりもライブコンテンツの方が勢いありますよね。会場が足らないという問題や、夜の「死んでいる時間」をもっと活用しよう。という声は出てきています。お金が流れている、お客が入っているところ、リアルスペースを盛り上げていきましょうというのは乗りやすい話ですよね。そんなリアル体験という中で、夜のシーンを盛り上げていう話になっています

山口:風営法改正は本当に素晴らしい成果だよね。こういう言い方をすると偏見だといわれてしまうかもしれないけれど、日本で真面目な市民活動が社会的にきちんと実を結ぶことが珍しい気がします。正しい主張なんだけれど、言いっ放しになってしまうというか。ところが、今回の風営法改正に関する活動は、法律改正という具体的な成果を上げていて、しかも、まだ継続していきそうな感じになっている。これは齋藤弁護士の活躍も大きいと思うだけれど、何故、そんな風にできたのかな?

齋藤:確かに、最初は市民運動、社会運動だったと思います。山口さんもおっしゃるとおり、そういう活動って、一過性の自己満足で終わりやすい。今回、署名活動がわかりやすい世論喚起になりました。市民運動は法改正のために絶対に必要な起爆剤だったと思います。ただ、署名が集まった時に、スイッチを切り替えて、リアルな話をしないと法律は変わりません、ビジネスしている人を巻き込んでいったのが成功した理由だと思います。それもクラブ業界や音楽業界だけではなくて、音楽の周辺にいる様々な業界のビジネスパーソンを巻き込めたのです。

山口:なるほど。どういう人達が、どんな動機で関わってくれたの?

齋藤:いろんな方がいらっしゃるのですが、例えば伝説的な老舗ディスコを経営していた方が、今は大規模商業施設内のレストラン経営をしながら、食と音楽を融合させようとしていたり、タワーレコードの社長だった伏谷さんが、TimeOutという訪日外国人向けのメディア事業を行い、その中で街の魅力を高めるコンテンツとして音楽を紹介されているとします。つまり、かつて音楽業界で活躍された方々が、音楽業界の外から音楽を盛り上げようとしている状況がある。音楽の本質的な価値を理解しつつ、食や観光といったまた別の文脈で音楽に光をあて、新しい価値を見出し、ビジネスとしても成功している。そういった方々が賛同してくれたことはとても大きかったと思います。

山口:その人達は、ナイトエンターテインメントが盛り上がることがメリットと思っていた?

齋藤:音楽はとても広がりのあるコンテンツだと思います。例えば、観光資源にもなるし、飲食店の空間価値を高めることもでき、ホテルの集客装置にもなる。かつ、これまで法的に閉ざされていた夜間市場が開かれたということもあり、メリットを見出すことはできると思いますし、ただ、そういう現実的なメリットというよりも音楽への愛情という点で関わってくれた人も多かったと思います。

山口:なるほど、それは素晴らしいですね。