「チケットの高額転売反対の共同声明」を受けて
再び、チケットの転売について考える
コンサート文化について考え直す岐路に立たされている
ACPC会長/ディスクガレージ代表取締役社長 中西健夫氏インタビュー

アーティストや音楽ファンの想いとともに公式の二次流通実現へ

中西健夫氏
—— 「法律が変わるの?」と言う方もいらっしゃいますよね。「転売がいけなくなっちゃうの?」みたいな。

中西:これは、転売したチケットでの入場をできなくしてしまうことが是か非かという話にもなるんですよ。約款上では、入場させなくても良いんです。でも「そうは言えないだろう」という。もうこの辺は法律でもなんでもないんですよね。

—— でも、毎回主催側で判断していくというのも辛いですよね。

中西:辛いですね。ライブって今すごくブームになって人がたくさん来ていますが、「そもそもライブって何を楽しむの?」みたいな、そういう根本論議もする必要があるんじゃないかな、とも思うんですよね。ライブ会場のマナーと、僕らのやり方も含めて、ライブってもっと自由なものだと思っているんですよ。

これは前回の取材時も言いましたが、僕が4枚チケットを買って、1枚は一緒に行く友人の分で、あとの2枚はそのアーティストを好きになってくれそうな誰かにプレゼントしたい。でも顔認証で入れないと言われたら困るわけですよ。そういう自由度がないとライブの裾野は広がらないと思うのですが、今は真逆のことをしなくてはいけない自分がいて、それはすごく心苦しいです。もっと自由に、もっと簡単に、もっと楽しんでもらいたいというのが制約されるので。

—— 先ほども少しお話に出ましたが、公式の二次流通サイトを作ろうという目論見はあるんですか?

中西:実現に向けてすでに動いていますが、定価で良いのか、一週間前チケットは高くても良いのか、そういった定義から、最大公約数をどこに取るのか、アーティストごとに考え方が違うので、その擦り合わせが非常に難しいですね。

少し話がずれますが、この前、小田和正さんのライブをマリンメッセ福岡で観ました。当然、全席指定でしたが、小田さんはあの広い会場を2周するんですよ。1階と2階のエリアをそれぞれ1周。それで各席の近くに歌いながら来るんです。全35曲3時間歌いっぱなしで、しかも会場中を走って、少しでもファンの人に近づこうとしている。そういうことをされているアーティストの想いを、僕らはきちんと受け止めなきゃいけないと思いますし、ライブそのものについて考え直す必要があるのかもしれません。

—— チケットの話だけに終始するのではなく?

中西:ちょっと本質を見失っているような気がするんです。

—— それは音楽に携わっている人の側から言わないと、どんどんチケットの話だけになっていってしまう気がします。

中西:そうなんですよ。僕らも武道館で後ろまで人を入れたときには、「こういう風に人が入っているから、こういう風に動いてね」ってアーティストに言いますよ。「こっちに3回行くならこっちにも3回行ってね」「後ろも向いて歌ってね」と。そういうコンサートに対する想いみたいなものが今は少し欠落しているかもしれないですね。

—— アーティストやコンサートへの想いも踏まえつつ、今後はユーザーファーストで難題に取り組んでいかれるわけですね。

中西:はい。アーティストのマインドや、コンサートってそもそもなんなんだということを考えながら、現実にやらなくてはいけないこと、時代が変わってネット社会になりコンサートが変わったこと…、そういったことを合算して、最大公約数でやりますので、どんどん意見してくださいと皆さんにお願いしたいですね。