各社新人開発スタッフが語る“アーティストの才能を見抜くコツ”
SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのための”オーディション必勝講座”」開催

イントロは短く4小節、サビは1分20秒までに 〜 1次審査はどこをみる?

ハグ:3つめにいきたいと思います。オーディションの一次審査で「どこを注目して見ますか?」という質問です。

須藤:僕は写真ですね。「簡単で良いんで送ってください」とは言いますけど、その「簡単」をどうとらえるか。例えば家の中のふすまとかタンスがバックに写っているような写真もあるんですが、クリエイティブなことを目指すなら、その「簡単」というものを自分の中で咀嚼して撮影してみてほしいですね。そう言うと難しく考えちゃうのかもしれないですが、なにか考えられるんじゃないかなと、見てて思っちゃいますね。

ハグ:わかります。でも逆に素人だけど「モデルやり慣れてます」みたいなバッチバチのやつも…。

須藤:それもまたキツいですね。難しいんですけどね。

ハグ:なるほど。冨永さんはどうですか?

SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのためのオーディション必勝講座」
ソニー・ミュージックアーティスツ 冨永周平氏

冨永:やはりセルフ・プロデュース、自分の作品に対して客観的であるかということですね。例えば、チューニングが合っているか、テンポはそれで良いのか、歌い出しで歌の力が伝わるのかどうか。自分が作ったものを最高だと思わずに、一回客観的に見直してから、我々に提示してくれる人はクレバーでいいなと思います。

ハグ:優しそうな口調で結構厳しいことを言いますね(笑)。でも、それがプロの世界ですからね。では伊東さん。

伊東:さっき話に出ましたが、長尾の場合は全部サビ始まりで送ってきたんですよ。曲も大体90秒以内で、2〜30秒、60秒、90秒と、CMに使われることも想定して作ってあった。そのくらい先のことを考えて送ってくるかどうか。でも中には地方の小学生くらいの女の子とかで、多分お母さんに内緒で小声でコッソリ歌ったのを送ってきたりするんだけど、それじゃあわからないじゃないですか(笑)。で、一応呼ぶんですよ。大きな声を出したらどうなるのかって。そうしたら同じ感じで(笑)。でも聴かないとわからないですからね。

ハグ:送ってみたら何かの返りがあるんですね。

伊東:行動しないと伝わらないし、多分ここにいる人たちは何度かそういうアプローチをしているでしょう。ソニーさんでダメでもエイベックスでってこともある。これはめぐり合わせなので、絶対に諦めないでほしいですね。

ハグ:1つの会社がだめでも諦めないことですね。では奥口さん。

奥口:先ほど客観的になれという話がありましたが、「自分がそれを聴いたらどう思う?」みたいな所を考えて送ったほうが良いんじゃないかなと思います。すぐ聴ける状態なのか、逆に梱包が凄く厳重過ぎてなかなか開けられないとか、あるいは2分くらい歌が始まらないとかですとちょっと聴く気持ちが萎えるというか…、さっきの「おもてなし」と同じ様なことなんですが、聴く側がどういう状態で聴くか、あまり考えられていないことが多いんですよね。

ハグ:何百通も送られてくるものを聴く立場になって送ると。では石田さん。

石田:再生したときに「私はこういうアーティストです」というのが、なるべく早く分かるといいですね。先ほどの長尾大さんのサビ始まりというのもそうなんですけど、「この曲はこういうことを言いたいんですよ」というのが、早く来るといい。一曲目に聴いて欲しい曲を入れて、最初の30〜40秒に全てをかけるくらいの熱量というのは、デモテープには必要だと思います。

加茂:イントロは短く4小節まで。僕は8小節は聴かないです。サビは1分20秒までに来る。あと、もうひとつはプロフィール欄。Mr.ChildrenとかMISIAとか絢香…彼らをディスるわけじゃないですよ? そういう一般的な誰でも知ってるようなアーティストが書いてあると「フ〜ン」って感じですね。例えば、湯川潮音ちゃんは高校2年でフェイバリットはジョニ・ミッチェルとローラ・ニーロって書いてあって、「この子なに?」ってなりますよね。あと相対性理論の真部脩一くんは会ったときに「プロデューサーって誰にやってほしい?」って聞いたら「キップ・ハンラハンが良いですね」って。キップ・ハンラハンってニューヨークのアヴァン・ポップって呼ばれてるジャンルのアーティストなんですけど、「コイツ、ただもんじゃねーな」って思いますよ。

冨永:それ、下手をすると、かましてるだけみたいな感じになりません?(笑)。

加茂:そう。嘘書いてもこっちはプロなんで分かりますけど、一応自己演出と言うか。

冨永:直接的に影響を受けたものは書かないほうがいいですよね。ミスチルを聴いて好きになって音楽を始めたんなら「ミスチル」って書くとネタバレになるから。

加茂:だったら好きな映画を書いてくれたりとか、ミスチルが影響を受けたアーティストに遡って、そっちを書くとか。結局、知的好奇心があるかどうかだと思うんです。ミスチルが好きならエルヴィス・コステロを聴いてなきゃ嘘になるんです。ビートルズ聴いてなきゃ嘘になるんです。知的好奇心がある子がやっぱり才能があるから。

伊東:本当に最近の人たちはミスチルで止まっているんですよ。ルーツを探って行かない。この人たちが聴いている量を凌駕していないから話が終わっちゃうんですね。そういう人が多い。