各社新人開発スタッフが語る“アーティストの才能を見抜くコツ”
SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのための”オーディション必勝講座”」開催

「会った瞬間に全てが分る」オーディションで見ているのは平均点より突出した魅力

ハグ:今日参加した皆さんには、是非自分の音楽を深めるためにもルーツを探っていって欲しいなと思います。次は二次審査というか、面接やオーディションでどういうところを見ているのか聞いていきたいと思います。

須藤:歌はもちろんですが、歌っているときの表情ですかね。無表情でも楽曲に合ってれば惹かれますし、熱く歌うなら熱く歌うなりの楽曲であって欲しい。全てがリンクしている感じがあるかどうかは見ていますね。

ハグ:それは直接見たら伝わるものですか?

須藤:そうですね。

冨永:バンドに関しては、スタジオ審査をするのは失礼だなという感覚があるので、僕らがライブハウスに行きます。そこでのびのびお客さんを巻き込んでやっているところを見たい。シンガーソングライターとか、シンガー志望の方は、オーディションという形で会うしかないので。実はこの質問は難しいなあと思っているんですが、さっき伊東さんがおっしゃっていたような小声の子でも会いたいんですよ。ただ会った瞬間に全てが分かっちゃうんですね。それは説明できないんです。個人の感覚とかセンスなのかもしれないので。

ハグ:逆に会ってみて「ダメだな」と思ったけど、歌い出した瞬間に「あれ、良いな」となることはありますか?

冨永:それはありますね。さっき須藤くんが言っていた表情だったり、歌に入り込んで人格が変わって見えるような感じとか、歌がすごく強かったりだとか、そういうときは何か評価が変わるのかもしれないなと思います。でもこれは本当に人それぞれなので。

伊東:僕は最初は声。難しいのは出会ったときの年齢とかですね。女の子は年齢でかなり変わってくるし。

ハグ:その場合どこで判断しているんですか?

伊東:もう素材でしかなくて。僕らは開発の後にどうやって鍛えていくかを考えるんですが、そこを待てる人と待てない人がいるんです。でもやっぱり4〜5年かけて育成された人の方が、デビュー後の活躍が全然違ってくる。あと、バンドなんかで難しいのは、作詞作曲してボーカルやってる人は良いんだけど、演奏のテクニックが追いついてないことがあって、メンバーを変えてまでやる気があるのか選択を迫ることもあります。そこは「どこまでプロとしてやっていくつもりがあるのか」という話を、メンバー間でしているのかなと言うところも含めて見ているので。下手だからダメという話でもなくてね。なかなか難しい質問ですよね。

ハグ:メールや紙では伝わらない、会ってこそわかるものがあるということですね。

伊東:僕はよく言ってるんですが、最終的に残る人って人柄なんですよ。そこにスタッフもファンもやられちゃってるから。それがないと歌も伝わんないですよね。だから凄く良い作品を作るけど人間的にダメな人って結構いて、それは一瞬グッと行くけど、やっぱりどんどん周りが去っていくんですよね。

ハグ:なるほど。では奥口さんは?

奥口:自分の魅力をどれだけ伝えられるかですかね。そう言っちゃうと難しいかもしれないですけど、何を伝えるかっていう熱意は大事だなと思います。伊東さんのおっしゃる通りそれが伝わった瞬間にスタッフ側の気持ちが働いていったりもしますし。会うまでの時間をその一瞬に込められるかみたいなことですね。

SONIC ACADEMY FES 2016「デビューを目指すアーティストのためのオーディション必勝講座」
ヤマハミュージックパブリッシング 石田裕一氏

石田:普段からどういう気持で音楽に接しているかとか、表現について考えているかって、ステージ上とか歌にすぐに出ると思うんですね。そういうときに、よそいきの顔はあんまり見たくないなと思っていて。その一回のステージだったりオーディションのために表情まで作り込んできても、おそらくここにいる皆さんはすぐに見破ると思うんですね。そういうことよりも普段の自分をいかに自然体で出せるか。普段から意識できているか。そういう所を二次審査では見ていきたいですね。

ハグ:加茂さんいかがですか?

加茂:付け焼き刃では無理ですよね。会ったときに「人間力があるな」「コイツ話して面白いな。いくらでも話してられるな」みたいな。さっき言った綾小路翔とかBase Ball Bearとかずっと喋ってられるから。やっぱり音楽的才能がある人って、人間的にも興味が持てるケースが多いので。日頃から人間力を上げる努力をして欲しいですね。

石田:終わった後にスタッフで話していて、1日で50人とか100人に会うわけです。「あの子」って言えるような印象が残るといいですよね。平均点はいらなくて一個印象に残るものを。加茂さんがおっしゃってた人間力がある特殊な方向にだけ出ているみたいなのがあると印象に残ります。

ハグ:五角形のパラメータで言うと、平均点ではなくて一個だけずば抜けてる方が面白い?

奥口:でも奇をてらえば良いという訳ではないです。すべてが人間力に繋がるので。全て培った上でということだと思います。本当に難しいですけど自然に派生するものだと思いますので。

石田:おそらくここにいる皆さんは音楽が好きなんですよ。なので音楽のファンとして音楽に向き合おうとするんですけど、皆さんが将来ショウビズの世界に入って、音楽のファンじゃない人にもCDを手に取ってもらうことを考えたときに、自分が何者かということを簡単に相手に知らしめなくてはいけない。例えば、先ほどお話にあったフェイバリットアーティストを細かくいっぱい書いてる人っているんですよ。しかもブリティッシュロック系からアメリカン系から、君はどっちがルーツなんだよみたいな。そういうことじゃなくて「私はコレなんです」というのを分かりやすくすることも、やった方がいいかなと思います。