「海外公演に向けて、日本アーティストがすべき準備とは」
【13th TIMM】レヴァレント・ムース氏×アソビシステム・中川悠介氏×ZAZA・南部喨炳氏×BBC Radio 3・ニック・ラスコム氏

日本の伝統、文化、慣習が妨げになるケース

【13th TIMM】「海外公演に向けて、日本アーティストがすべき準備とは」
ムース:あと言語の問題はいかがですか? 南部さんは英語の勉強をされていると伺っています。

南部:この3年間アメリカのマーケットで展開するために、海外と交渉している内に自然と覚えましたが、まだ勉強中です。会議を頻繁に行う場合、週に2回スカイプでアメリカと会議しているんですが、どんどん英語力は増していっているとは思います。その唯一の原動力はアメリカの市場でブレイク・スルーしたいということで、そのために英語はやらなければいけない事だと思っています。

ムース:中川さんは「通訳を介している」とおっしゃっていましたが、英語圏の市場で仕事をするにあたって、言語の問題はどうお考えでしょうか?

中川:英語は必要だと思っています。出来た方が良いなといつも思っているんですが、単純にやっていないだけなので(笑)。言い訳としては、喋れなくても海外に行って通用していますし、何とかコミュニケーションは取れるという自信もどこかにあります。キャラクターと勢いで仲良くなったり、台湾のチームはみんな英語なんですが、「ファミリー」とか言って仲良くなっていく感じがあるんです。本当は必要なのは分かっているんですが、勉強して待っている暇はないな、と。とりあえず行くことが優先だなと思っています。

ムース:これは決して日本特有の問題ではないと思います。フランスなんかはとても頑固でプライドが高いというのもあるんですが、新しい言語を習得しない。フランスあるいはカナダのケベックでビジネスを展開しようとすると、あえて英語を話さないという人も多いんですね。それが障害、障壁になりうる事もあります。 あと、日本はマナーが比較的カジュアルな西欧の国と違い、とても丁寧だと思います。丁寧過ぎるあまり、少し違和感を覚えるくらいです。

ニック:そうですね。敬意を払って申し上げますが、少し冷たい感じがしてしまうんです。イギリス人はアメリカ人ほど、カジュアルな雰囲気を持ってはいません。ですから形式とかはある方だと思いますが、日本人よりは堅苦しくないように思います。ただそれが日本の美徳であり、私個人も好きなところです。

ムース:海外の音楽業界に適応するにあたって、日本の伝統、文化、慣習が妨げになっている事ってありますか?

南部:たくさんあると思います。例えば、日本人のアーティストは基本的に撮影禁止です。でも「撮影禁止です」と言っていても基本的に撮るというのがアメリカ、ヨーロッパです。それ以外にも人との距離感というのがすごく難しくて、日本の価値観のまま行くと、やはり一線を越えられない感覚はありますね。メールでいきなり「ヘイ!」って使って良いのかとか、メールの最後は「ベストリガード」で締めなきゃいけないんじゃないか、とか。

「この人との関係であれば、このくらいで良いのかな?」というのは、日本語だったらもっと分かるのかもしれません、例えば「お疲れ様です」で始まるのか、「お世話になっております」で始まるのか、「何卒」は使うのかとか、そういうニュアンスまで言語のレベルとして、まだ入り込めていないですし、どうしても気にしてしまいます。ただ、ニックさんやムースさんからのメールに「さん」がついてなかったからと言って、そこに違和感はないと思いますし、外国人の方が思っているほど日本人は気にしていません。特に外国の方に対しての礼儀とかマナーに関しては寛容な部分があると思います。逆に「外国人らしく、もっとフランクに来てよ!」と感じるときも結構ありますね(笑)。